曰進化論は右の如く宇宙の實在抔には一向頓着なく唯動的現象界の事のみを主旨として研究するのであるから純形式的の眞理に對しては何の解釋も出來ぬ、例へば二と二とが四となり三と三とが六となるといふが如きフォーミュラー抔は是れが如何に進化する乎、又論理の三原則の如きも決して進化するものでない、のみならず進化律それ自身が毫も進化せぬではない乎、凡て靜止的眞理に至ては進化抔いふことはない全く恆久不變である、又空間時間の如き是れが如何に進化する乎を聽きたい、加藤の如きは空間時間抔に就て何の考もないやうである云云。
 評者曰凡そマテリーとエネルギーとは必ず進化するものと余は信ずるのであるが唯進化せぬものは自然法それ自身である、進化律は自然法の一部であるから、それゆへ進化すべきものでないのである、數學的フォーミュラーの如きは是れは全く自然法それ自身である、又論理の三原則の如きも矢張同樣自然法それ自身である、それゆへ固より進化すべきものではないのである、ところが空間時間であるが是れは自然法それ自身とは言へぬけれども併し是れはマテリーでもエネルギーでもない、それゆへ是れは進化せぬのである、進化するのは唯マテリ
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