」に傍点]、てけれっつのぱあ――そこにすべてが出発している。だから、子供を蹴ちらすとたちまち二人は相乗り車! ※[#歌記号、1−3−28]相乗り幌かけ頬と頬がぺっちゃり、てけれっつのぱあ――とおいでなさる!
 いずれにもせよ、だがこのくらい、悲哀を大きな玻璃玉《はりだま》にして打ちつけてくれる踊りはない。花やかな憂鬱。きらびやかな悲哀。
 ――私は、この踊りに見とれている時ほど、こよなき人の眸《ひとみ》の中をでもじっと見つめているような、うれしくかなしくいたましい思いをすることはない。
 されば、声を極めてかくは私も叫ぶのである。
 君見ずや、かっきょの釜掘り!ああ君見ずや、かっきょの釜掘り※[#感嘆符三つ、81−8]と。

     才賀の死

 やまと[#「やまと」に傍点]が死んだ。東京へつばくろが訪れ出したら、才賀となってとうとうやまと[#「やまと」に傍点]は死んでしまった。
 巧かった。
 せん[#「せん」に傍点]の桂文楽(五代目)だ。
 惜しいものをこじき[#「こじき」に傍点]にした。
 そう思うと、圓右(初代)より、今輔(古今亭・三代目)より、やまと[#「やまと」に傍点]の
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