ろでぬぐ)。そうして、はじまり、はじまり――だ。
 まず唐茶屋の台詞みたいな、※[#歌記号、1−3−28]あじゃらかもくれん、きゅうらい、てこへん――といったようなことを言って「てけれっつのぱあ」とやる。どーん[#「どーん」に傍点]とここへ太皷が入る(哀しい!)。※[#歌記号、1−3−28]高座にふとんに火鉢に鉄瓶、てけれっつのぱあ ふとんをこうして子供に見立てて、てけれっつのぱあ――かっきょ[#「かっきょ」に傍点]はかかえた子供を、ほんとうに親愛をこめて、高座をぶらぶらしながら見入る。そうして、悲痛な面持ちで※[#歌記号、1−3−28]お前があったら孝行ができない、てけれっつのぱあ――ここで片すみへ子供をおく。再び、ぐるぐる歩きだす。※[#歌記号、1−3−28]一天四海は法華の法だよ、てけれっつのぱあ ――もう一度、高座のまんなか[#「まんなか」に傍点]へ帰る。そうして、ぺちゃん[#「ぺちゃん」に傍点]と座って子供の顔を見る。※[#歌記号、1−3−28]きょうが十七、あしたが十八、あさって十九でぱあ (これは日によってよろしくちがう)――いかにも「花暦八笑人」に死期の迫ったもののよう
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