すぐまた酒盛がはじまってしまった。酔えば酒飲みの常、いつ迄もいつ迄もお互いにひとつことを繰り返しては根気よくさしつさされつ――トド杉大門はへべのれけになって小間物店まで吐きだした。命じられて小圓太がその後始末をさせられ、その上、駕籠を呼びにやられた。その駕籠がまたなかなかやってこないときた。ピューピュー筑波ならしの吹く寂しい四谷の大通りに佇《た》っていて、小圓太はつくづく杉大門の主を怨みにおもった。何かこの人、前世で俺に怨みがあったのかしら、それともうちの先祖があの人の先祖を絞め殺したことでもあるのかしら。人の恋路の邪魔する奴は馬に蹴られて死ねばいいという都々逸があるけれど、俺の世の中へでるのを邪魔する杉大門も土竜《もぐら》にでも蹴られて死んじまえばいい。それにつけても今夜はちょいとこれ[#「これ」に傍点]の稽古をすませますから、ほんの少しそこで待ってて下さいとひと言そういってくれないですぐニコニコ大愛嬌でお客様を迎えてしまううちの師匠の上も、いささか怨めしくおもわないわけにはゆかなかった。
 ……ブツクサ呟いていることしばし、やっとのことで駕籠がきた。いっしょに家まできてもらって、て
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