何も修業と拭き掃除も、濯ぎ洗濯も、使い早間も進んでいそいそやらせて貰おう。
 だのに、落語のほうは何ひとつやらせてくれず、ただおさんどんか権助の代りのようなことにばかり使う、使って使って使いまくる。
 よく皆の演る「かつぎや」という落語では中へでてくる権助が、人遣いの荒い主人を怒って、人間だからええ[#「ええ」に傍点]が草鞋なら摺り切れてしまうだと文句をいうところがあるが、この師匠のところも少うしそれと似ていはしないか。
 いや少しどころじゃない、まさしくそれだといってよかろう。
 しかも師匠はいいつけた用事をまちがえると、頭からガミガミと怒鳴り付ける。ほんとうに縮み上がらせるまで叱り付けずにはおかなかった。
 仲間には馬鹿丁寧で、お神さんに頭が上がらず、おしのどんにもやさしい口を利く師匠なのにこの自分にばかりはガミガミガミガミ我鳴り立てる。ことによると八方ふさがりでどこへいっても頭ばかり下げているからこの自分にだけ、天下御免と怒鳴りちらすのかもしれない。
 そう考えると師匠が少し可哀想にもなるけれど、いやいやいやとんでもない、可哀想なのはよっぽどその癇癪の捌け口にされているこの俺のほ
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