、砲声が、ワッワッワーッというような何とも分らない大ぜり合いのような声々が、近まってきてはまた遠のいていった、狸囃子のそれのように。
屋根叩く川面叩く大雨はいよいよ烈しくなりまさってきて、まさしく天の底が抜けるかとばかり、そういっても滝津瀬に似た、どんどん[#「どんどん」に傍点]に似た、このすさまじい土砂降りを何としよう。
「……」
真っ暗な部屋に坐りつづけたまんま圓朝はいま、自分の周りと同じように、自分の心の中もやっぱり真っ暗であることを感じた。真っ暗三宝とはこのことだろう、一寸先は暗《やみ》というが、どういたしまして前後左右がことごとく暗で、自分自身もまたこの暗といっしょにこのまま溶けてなくなっていってしまいそうでならなかった。
書きものの始末をと嘘をいって上がってきてしまったけれど、じつは女たちの前であまり取り乱している自分を見せたくなく、何よりひとりしばらく心を休めて、自分というものを取り戻したかったからだった。
……落着け落着け。
……落着けったら。
……みっともないぞオイ、圓朝。
……オイ、ほんとうにオイ、しっかりしないか。
烈しく心にこういい聞かせた。やや
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