った。その気落ちがしてしまったためだろう、ひと月あまり呷りつづけた自棄酒《やけざけ》のあと、バッタリ倒れて、とたんにこんな病気がでてしまったのだった。
それにしても――。
怪しからん奴はあの圓太で、前からこのお仙とわけがあったらしく、とすると今度体よく見切りを付けさせたのも奴の指図だったのだろう、師匠が倒れたと聞いてもてんで[#「てんで」に傍点]顔出しもしてこないばかりか、早いところお仙と二人随徳寺を極《き》め込んで旅廻りにでもでてしまったものらしく、血眼になって例の船宿の婆さんが久保本へも圓太の行方を探しにきたということだった。従って、もういまの四谷の家にはおしのどんもお嫁に行ってしまっていなかったし、目っかちの雇い婆さんが一人、病人の世話をしているばかりだった。
「……」
ときどき烈しく息を吸い込んではまたフーッと吐き出す師匠の顔を見ながら、打って変って荒涼としてしまっている部屋の中を眺め廻して圓朝は、秋風|荒《すさ》ぶ人生終焉図の見本を目のあたり見せつけられているような気がした。お神さんなく、おしのどんなく、今や師匠はこの姿――昔ながらのものとてはあのいつかの朝自分が突き落
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