は、こうして圓朝打倒の大|旆《はた》を揚げた人たちはかえって内に外にいつも空しく惨敗を喫することとはなってしまったのだった。
「人気」というひとつの大きな趨勢の前、鬼夜刃羅刹といえども、それには対抗することできなかった。非難すれば非難するだけ、礼讃すれば礼讃するだけ、どっちへどう転んでも圓朝の名はうららな朝日のいろにと染められていくばかりだった。
その晩、何べんも嬉し泣きに泣きたいような思いになりながら圓朝は、船で小糸の家までおくられていった。三年前世話する人に死別れたままの小糸の家は圓朝の住居のもう少し河上にあって、庭から河岸へと張りだされている桟橋へは、涼しく暗い川波が寄せて返していた。ピタリとそこへ船が着いた。まだ濡れている手でしっかり小糸の手を取って圓朝は、いつか今にもひと雨きそうに曇ってきた夜空の下、鉄砲百合の花香ただよっている前庭のほうへとあがっていった。
……そのころから圓朝はこの小糸の家の二階で、ひとりしずかに新作噺の構想を凝らすようになった。母のおすみも小糸贔屓でよくやってくれば、萬朝をはじめ弟子たちも姐さん姐さんとよくなついて始終出入りしだした。寂しい、影その
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