、
「エイ」
もんどり切ると青々とした水の中へ、ザブーンとその身を躍らせた。
「やっ身投げだ」
「身投げだ」
口々に数万《すまん》の見物は愕いたが、やがて真相が知れ渡ると、
「ちがうちがうそうじゃねえんだ、落語家《はなしか》の圓朝が洒落に飛び込んで泳いでるんだ」
「エ、洒落に泳いで。フーム。生白《なまっちろ》い顔してる癖に圓朝て意気な野郎だなあ」
「意気だともよ、圓朝、圓朝しっかり泳げ」
我も我もと花火そこのけで圓朝を声援しだした。
(いけねえこいつァ。
余計なことをいってしまって、かえって圓朝に落《さげ》を取られた)
ガッカリしたように顔見合わせている柳條柳橘を尻目にかけて圓朝は、ややしばらくその辺を泳ぎ廻り、もういい時分とぐしょぐしょに濡れそぼけた縮緬浴衣のまんま自分の船へ泳ぎつくと、
「おい早く、そっちの浴衣をだしてくんねえ」
舟べりでどうなることかとハラハラしていた寂しい美しい横顔へまた鉄火に呼びかけた。
「あいあい、お前さんあのこれで」
スーッと立ち上がっていったお糸は濡れた浴衣をぬがせるとすぐ用意してあったもうひとつの寸分違わぬ首ぬき浴衣を、まだ身体中水だらけ
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