に傍点]は切る、客席へ掘り抜き井戸を仕掛けてその本水で立廻りはしやがる。
まるで切支丹伴天連じゃねえか)
いつもこういって罵っていた。
(それもいいや。
それもいいが、揚句に芝居の仙台様がお脳気《のうけ》を患いやしめえし、紫の鉢巻をダラリと垂らして、弟子の肩へ掴まって、しゃなりしゃなりと楽屋入りをしやがるたあ何てえチョボ一だ。
そんなにまでして人気が取りてえという了見方が情けねえじゃねえか。
しょせんが芸人の子は芸人だ。
親代々の芸人は根性からして卑しいや)
こうもまた罵っていた、圓朝の父圓太郎とて遠い昔はかりにも帯刀であったものを。
……こうした悪口は、もちろん、圓朝の耳へも響いてきた。
けれども何といっても相手は江戸一番の落語家、長いものには巻かれろとジッと歯を喰いしばっていたのであるが、今宵はしなくも惚れたお糸と花火見物の船の中で、その大敵の柳枝と水を隔てて真っ正面に対面してしまった、お糸は何知る由とてなかったが、早くから圓朝気づいていたのでまだ三十にはひとつ間のある血気な身の、しきりに最前から一戦挑みかけたい闘争意識が火のように全身に疼いてきてならないのだった
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