に傍点]になり果ててしまっていたのだった。
「とおもったからあわてて大急ぎで俺やってきたんだ。危ねえ危ねえ」
ワザと大袈裟に身慄いして、
「オイ、いまお前さんにそんな了見になられてみねえ、せっかく立派に咲く桜の花一輪|仇《あだ》に散らしてしまわにゃならねえじゃねえか。鶴亀鶴亀、たのむぜ圓朝さん」
笑顔でお銚子を差し付けた。
ヘイとお辞儀しながら飲みのこしの冷えたやつをグイと干して、
「いえ」
自分がお銚子を奪うように並々と文楽の盃へ酌《つ》いでやると、
「でもあんまり……あんまりですから……」
黙ってうつむいてしまった。そのとき文楽が置酌ぎにしてくれたこちらの盃の中へ、ポッカリと自分の顔が映って悲しく揺れていた。
「あんまりじゃねえんだ」
キューッと盃の酒を呑み干して、また手酌で一杯酌いで文楽が、キッパリといった。
「へ」
「あんまりじゃねえんだよ」
もういっぺんまた文楽はいった、またキッパリと。
「私のほうが無理なんで」
恐る恐る圓朝は相手の目を見た、キビキビした中にもいたわりのある目を。
「お前のほうも無理でねえんだ」
またズケリと文楽がいって、
「つまり両方とも
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