暴れ込もうとするのだろう、恐しい勢いでバッタリ真正面から衝き当った萬朝を、ありったけ[#「ありったけ」に傍点]の力で圓朝はつかまえながら、
「いけないいけないいけないってば、萬朝」
 一生懸命頼んでいた。
「だって……だって聞いてた何もかも表で。わ、笑わしたなあこの私《わっし》なんだ。そ、そいつが元で小勇ン畜生め、手前の下手ァ棚に上げやがって、師匠にあんな恥ィかかして。ええ畜生。小勇も小勇なら大師匠もまた……」
 人間はどじ[#「どじ」に傍点]でも師匠思いの萬朝、身体中を怒りに慄わして猛り立った。
「でも……でも……お前」
 まだギューッと大きな萬朝の身体を抱きかかえたまま、
「いけない今夜は。今夜だけは勘弁しておくれ、この私に免じて。お前の親切は圓朝涙のでるほどうれしいけれど、いまお前が飛び込んでいったらせっかく納まった騒ぎがまた大きくなる。そうなると却って私が困る。ね、分ったかい、ねえ萬朝、分ったかい、分って……分っておくれよ後生だから」
 ややしばらくしばらくして、しっかりと圓朝のかかえている胴体が、ガタンガタンと大きく二つ縦に動いた。
「オ、ありがと。分ってくれたね。ありがとよ
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