こう河岸の横網町の藤堂さまの朱い御門が映り、それが鬱金《うこん》いろの春日にキラキラ美しく揺れていた。
絶えず艪声も聞こえてきた。
こうした江戸前のスッキリした眺めも、いよいよ自分も一人前の芸人の仲間入りができるかの瑞兆のような、いいしれぬ喜ばしさを圓朝の胸に滲ませないではおかなかった。一日に何べんも何べんも裏の窓を開けてはフーッと深く呼吸して、水の匂いを一杯に吸い込んだ。
吐きだしてはまた吸い込んだ。
何べんも何べんも繰り返し繰り返し、試みた。
「いやだね、また師匠お株をやってる」
そのたんび呆れて萬朝は、師匠の華奢な肩を叩いた。
いきなりその手をグイと掴んで圓朝は、エイヤッと芝居もどきに投げる真似をした。
「タハッ」
大袈裟にやられたという表情をして萬朝は、ドタリバタンと不器用にとんぼを切った、ひとすじ朱く畳を染めている春日の上へ。顔へ朱いろの縞がみだれた。
「テ。口ほどにもない……」
鷺阪伴内にひと泡吹かせた道行《みちゆき》の勘平のようニッコリ圓朝は、見得を切った。
「…………」
やっぱり花四天のよう、ニュッと雨足上げて転がったままで萬朝はいた。
何ともいえな
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