ける質《たち》の男だった。
 噺は萬朝のほうが馬鹿々々しくて見込がありそうだったが、日常の茶飯の事にかけては小勇が、恐しいほど万事万端才走っていた。
 従って萬朝は台所の手伝いをしかけている途中で、噺の稽古に夢中になってしまったり、かとおもうとまた用事をおもいだしてそのほうへかかったり、とんとすることがしまらなくて、よく年若の圓朝から叱られたが、小勇のほうはろく[#「ろく」に傍点]になんの稽古なんかしない代り、暇があると表を掃いたり、ごみ[#「ごみ」に傍点]箱のそばの雑草を引っこ抜いたり、一坪ほどの何ひとつ植っていない庭へザブザブ水をやったりした。
 圓朝が御飯をたべていると、後へ廻って団扇で煽ぐのもきっとこの小勇だった。そうしては萬朝のどじ[#「どじ」に傍点]で間抜けなことを、何彼につけて悪しざまにいった、聞きかねて圓朝のほうがなだめだすまで。
「なんのお前、萬朝のほうがどじでもよっぽど無邪気でいいんだよ。あの小勇の奴ときたらお前さんがでかけてしまうとすぐにグーグー高|鼾《いびき》さ。ほんとにお前あの二人がいっしょになるとちょうどいいんだねえ」
 二人きりになると母親のおすみは、つく
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