「ウーム、なるほどなるほどお前さんは」
 やがて圓朝は口を切って、
「失礼ながら面白いお方で落語家さんにはまことに結構とおもわれます。しかしねえ、お前さん」
 ちょっとクリッとした目を外らして考えていたが、
「でも私《あっし》のような青二才の弟子になるより、どうせこの商売におなんなさるのだったら、もっとどうにかなったお人の……」
「いえ、いいえ、それが」
 あわてて相手は剽軽に手を振って、
「こっちァお前《ま》はん一本槍でやってきたんで。私ア文楽さんのでている神田の寄席でお前さんを聴いたんだ」
「ああ三河町のあの……」
 千代鶴だった。
「ウム。そうなんだ。まだそりゃお前さん、ほんとに若いけれどもね、多少末始終の見込があるとおもってね」
「恐れ入ります」
 多少は恐れ入りましたね。またしても笑いたくて笑いたくて圓朝は仕方がなかった。
「つまりその仕込みゃどうにかなる人だとおもったんだ、お前さんは。だから私《あっし》ァいっしょに苦労をしてひとつ釜の飯を食べてみてえとこうおもってやってきたんだ。成る、きっと成るよ大真打にお前さんは。ねえ、ねえ、昔からいうだろう、師匠を見ること弟子に如《し》
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