た、ゴシゴシとこすった。
「初代三遊亭圓生墓」
 やがて、赤ばんだ紫ばんだ石のおもてへ、彫りの深いこんな文字が露《あらわ》にあらわれてきた。同じように水を掛けて、右横のほうを洗うと「三遊門人一同」として、古今亭新生、金原亭馬生、司馬龍生、三升亭小勝、二世三遊亭圓生と、あとからあとからこんな文字が並んで細く顔見せてきた。
 新生、馬生、龍生、小勝――みんな初代圓生門下の逸足《いっそく》で、今は亡い得がたき手練《てだれ》ばかりだった。一人一人の顔が、姿が、高座振りがみんなつい昨日のことのように、なつかしく圓朝の記憶にのこっていた。今更のように圓朝は、それらの人々の上が惜しまれた。
 一番おしまいの二世圓生――それがいまの自分の師匠の圓生だった。
「ほんとに……」
 桶の中から取り出した樒を半分ずつにして、両方の花立ての中へ差し込みながら圓朝は、
「うちの師匠の代になってめっきり三遊派は衰微してしまった」
 そっと微かに溜息を洩らした。秀でた眉が、心持悲しく慄えていた。
「何て……何てこったろうほんとに」
 シットリと湿《しっ》けた枝差しだしている傍らの柘榴の股になっているところへのせて置い
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