は苦しかった。骨が折れた。身分こそ低く、身体こそ忙しいが前座のほうが定《き》まったお給金が貰えた。つきあいもなかった。給金の貰えない者はその代り師匠の内弟子だから、必要に応じたものはみんな師匠が面倒を見てくれた。
ところが二つ目となるとそうはいかない。
出る席はせいぜい一軒か二軒で、それも半チクな寄席ばかり、従って収入《みいり》はない。
しかもつきあいのほうはもう一人前とみなされているから、祝儀不祝儀、何かにつけて後から後から出銭が多い。
三度に一度は前座に小遣いもやらなければならないし、仲間と飲みにも行かねばならない。楽屋へ這出しにくるやくざがあると、それにも某《なにがし》かの小遣いをとられた。しょせんが一軒チャチな寄席の掛持が増えた位では、毎月毎月足がでてしまった。いや全くその苦しいの何のって、愚痴はこぼしたくなる、不平は湧いてくる、しかも周囲は一人でもあいつしくじればいいと手ぐすね引いて待っている手合ばかりだから、口でばかりお上手をいっても、誰一人味方になってくれるものなんかない。従ってその時分あたら前途ある芸人で二つ目の苦労に耐えかねて江戸を売り、ついに生涯、旅烏で終っ
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