三段に雀の行方を追う圓生の目のつかい方は、それぞれそのたんびに位置や高低がちがっていた。話中幾人かの人物の位置の移動を、眼《がん》の配りたったひとつで如実に表さなければならない「噺」の世界では、かかって「芸」の活殺《かっさつ》如何はこうした目の動かし方ひとつにあり。すなわちいまその奥秘の種明かしをば、親しく師匠はして見せてくれたのだった。
「ウームそうか、そうだったのか」
その日。感激で満身を慄わせながら小圓太は、四谷から振出しの神田三河町の千代鶴という寄席まで独り言《ご》ちながら歩いていった。どこをどうどんな風に歩いていったか分らなかった。それほどことごとく興奮していた。
「そうか、そうなのか、始めて……始めて……ウーム、そうか」
そんな風な何ともつかない独り言を洩らしてはニヤニヤ笑いだしたり、口をへの字に曲げたりしてはまたブツブツ呟きながら、夢中で歩きつづけていった。
「オ、キ印だ」
「まだ若えのに可哀想に――」
そういって何べんすれ違う人たちに嗤われ、後ろ指さされたことだろう、でもてんで[#「てんで」に傍点]そんなこといまの小圓太の耳には入らなかったのだった。
ひたすら
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