ですよ師匠」
どうしても答の意味が分らなかった小圓太だった。
「だからもうこれでお前の稽古はすんだ、すんでしまったとこういうんだよ」
再びキッパリといい放った。
「す、すんだ? あの、お稽古が」
小圓太は自分の耳を疑った。思わず澄んだ目をクリクリさせた。
「だってお前ようく考えてみな」
ニンマリと師匠は笑って、
「お前、今朝早く暗いうちから歩いてきて眠かったろう」
「ヘイ」
言下に、肯いた。
「寒かったろう、まだ表は」
「ヘイ」
また肯いた。
「そして随分辛いともおもったろう」
「ヘイ」
三たび肯いた。
「その揚句にいま俺に突き飛ばされて池へ落っこちて、随分アッとおどろいたろう」
「……」
今度は黙って肯いた。
「それ眠い、寒い、辛い、それからアッと驚いたときと、つまりそういうときの呼吸の修業をいまのこらずお前は俺にやって貰ったんだ。こののち噺の中へでてくる人物が眠がるとき、寒がるとき、辛がるとき、アッと驚くとき、みんないまのこの呼吸を忘れないでやるんだぞ」
もういっぺんまたニンマリと笑って、
「分ったか、おい小圓太」
さらに烈しく、
「なあ分ったか、オイ分ってくれ
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