っていた。一番相好を崩して喜んでくれるだろう父親のいなかったことが何としても小圓太にとってはさびしかったが、それにしても指折り数えれば五ヶ月――僅か五ヶ月にして二つ目になれたとおもえば、大いに大いに喜ばないわけにはゆかなかった。
 でも、二つ目になってからの修業の、今までとはまた全く柄行《がらゆき》を異にして、めっきり辛く苦しくなってきたことを何としようぞ。

 にわかに圓生は一種特別の稽古を始めだした。稽古といっても口写しの噺の稽古のほかのおよそ厳しい仮借のない稽古振りなのだった。
 まずそのひとつ――。
「エー一席申し上げます。エー手前のところはエーその何でございまして、エー」
 こんな風にその時分の小圓太には話の合間に「エー、エー」という言葉癖があったのだが、それがひどく耳障りだとてある日圓生はいくつかの碁石を片手いっぱいに掴んで座を構え、
「サ、始めてみろ噺を。エーエーをいうんじゃねえぞ」
 顎でしゃくった。
「ヘイ」
 肯いて首の座へ直ったが開口一番、
「エー申し上げます」
 すぐその「エー」をいってしまった。
 ア……しまったと首をちぢめたとたん、
「エイ」
 早くも裂帛《
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