して彼は死んだ。この年、関西には颱風があり、天王寺の塔も倒壊した。
 春団治と鴈次郎と天王寺の塔と――大阪の三大名物、ここに氓びたと私はおもつた。
 私の昔の歌に左のやうなのがある。

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うなぎ、うなぎ、鰻つかみて春団治 歩む高座に山査子《さんざし》のちる
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底本:「日本の名随筆22 笑」作品社
   1984(昭和59)年8月25日第1刷発行
   1999(平成11)年9月30日第18刷発行
底本の親本:「寄席風俗」三杏書院
   1943(昭和18)年10月
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2008年12月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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