どゝいふ、かういふ仲間内で、ゴシゴシ鉛筆画をかいてその上にゼラチンを塗つて油絵だといつて喜ぶ遊戯などをしました。店に客が無いと、ぞろぞろ小高い三階へおし上つて、これは当時市内各区の「いろは」牛肉店独得に、五色の窓ガラスで家の見附きが全部飾つてあります。その五色のまゝ、赤や紫の四角な透明の形が畳へおちる真明るい中で喜遊します。一度は高い三階のてつぺんから下の地びたへ、宿無し猫を力一杯放つて、それが地びたでどうなつたのか、真下に客待ちしてゐた人力の車夫に、家へ手ひどく苦情をつけられたことがある。
芸妓屋のコドモたちは、尤も家にぼくは妹がゐましたから、これへやつて来るわけですが、おはつちやんであるとかおせんちやんであるとか、その使ひ走りの下地つ子達が、ぽつくりを履いてぞろぞろやつて来るといふと、ぼくはこのみんなを集めて、人形芝居をやつて見せたものです。出鱈目に番町皿屋敷であるとか本所のおいてけ堀といつたやうな、いゝかげんの狂言をやります。その人形は皆から集めるので、これをいつも苦心して、尻から棒を通して首が動くやうにしたり、衣裳を作つたり用意しておきます。
よくないのはこの仲間で時々お医
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