ゴのかけてあるのもある。之等はハシゴのこつちにはねバシがあれば――往来のコンクリートは元々そこが流れであるから――一葉の文の「とんと沙汰して、廻り遠やこゝからあげまする」をそのまま思はせるものである。
要するに問題は、廓内の地盤が高い、そこから廓外の低きに向つてハネバシを操作するといふ点が、肝要となります。スケッチはすべてb―cの、ドブの幅一間位ありしといふところにて写しました。
[#「第三図」のキャプション付きの図(fig47735_03.png)入る]
こゝに寛永年間の新吉原図あり、略示するに、周囲の黒線が下水です、原図もこのくらゐの割にして太く描いてあるが、いかさまこれが内部から外へ外へと※[#「┼」の上下左右に外向きに矢印の頭を付けた記号、144−16]発展した感じはわかる。そして廓内の家が下水へぴつたり接近した時に、ハネバシを生じた筈、その上猶川幅を縮小して行つて、現在に及ぶ歴史でせう。
○ハネバシは昼間は大体あがつてゐた。
○ハネバシは廓内から廓外への捷路の専用門であつて、廓外から廓内への用には必ずしも用ゐられぬ。廓内からそれを渡して外へ用事に出た時など、かけつぱな
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