「いろは」の五色ガラスについて
木村荘八
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)小間《こま》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1−87−25]
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私事に傾くとすれば恐縮するが、今となつては強ち「私事」でもなく、これも「東京世相」の一つの波の色と化つてゐることだらう。
[#「いろは牛鳥肉店」のキャプション付きの図(fig47594_01.png)入る]
図は牛肉店「いろは」第八支店の、そこで僕の生育した家の正面を写すものであるが、図の向つて左、家の片影に遠見に走るところが、元柳町の、芸妓じんみち[#「じんみち」に傍点]になるところで、家の前面に数本の梧桐が立つてゐる。この梧桐については別の文中に云つた。図の右端のガス燈のあるところが、元、「フラフ」のあつたところである。こゝから右へ居流れて、いつも客待ちの人力車夫が屯ろしてゐた。
家の大屋根から母屋への境界に、恰も軍艦の胴腹のやうにゑぐれたしきり[
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