《てき》なの?
杉山 ――誰が敵だと言つたい?
お秋 ――初ちやんは、やつと、少しばかり、ほんの少しばかり、仕合せにならうと思つたのよ。――そして一生懸命になつてゐるのを、お前さんは、どんな目に合せたのよ? ――初ちやんは身を投げて死なうとまでしたんだわ。
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間。
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杉山 ――俺は初子が好きなんだ。
お秋 好きなら好きの様に、ぢや、どうしてしないの? 好きなくせに、どうして憎んでゐる様にやつて行くの? ――私にはわかるのよ。お前さんはやくざだよ。やくざは、どんな事にでも嘘を言ふんだわ。自分にだつて嘘を言ふんだわ。私は正直に言つてゐるのよ。――(間)
杉山 (力無く、しかし言葉だけは強く)へ、説教か。
お秋 私の言つてゐることが説教なの? 説教だと思ふの?――杉山さん、説教をして私達に聞かして呉れるのは、本当は、お前さんでなきやならぬ筈ぢやないの? (永い間)沢ちやん、あんたまだ寝てゐなきやいけないんぢやない?
沢子 えゝ。
お秋 また、そんな、駄目よ。
沢子 寝るわ。(立上つて去る)(間)
杉山 俺、もう、帰らあ。
お秋 え? それで、さ、
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