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初子 ――秋ちやん。――秋ちやん。――あたし、帰つて来たわ。――あたしは、やつぱり、此処の人間だつたのよ。――此処の人間だつたのよ。――帰つて来たわ。
お秋 ――随分、心配してゐたのよ。馬鹿な真似でもしやあしないかと思つて、心配してゐたのよ。
初子 しようとまでしたんだけど、出来なかつたわ――戸崎の内《うち》まで行つたんだけど、内の前まで行つたんだけど、どうしても入れない。――そいで、大川へ出たの。――大川の縁で、それから桟橋の方でも一晩中ウロウロしてゐたの。――身を投げようと思つて、水のわきまで行つた――。それでも出来なかつたわ。――そして、帰つて来たわ。
お秋 ま、ま、いゝわ。いゝから、お坐り。
初子 えゝ、ありがと。えゝ、ありがと。
お秋 もう泣いちやいやだわよ。いゝの。
初子 泣かないわ。
お秋 さあ坐らない、ね。
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二人坐る。
短い間。
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一体どうしたつて言ふの?――私、ゆふべ、町田さんと杉山さんが見えたんでそりやビツクリしたのよ。だつて、まるで思ひもかけなかつたんだもの?
初子 え、二人が来てゐるの?

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