、かけ出して来た。
そめ すまなかった。こらえてくんな。……
かつ 小僧はお前が居ねえで一日グズグズ言うしな。先にマンマ食わしたら、今日はもう、こうだ。
そめ おうおう、可哀そうに。眠りこけてら。どれどれ、おらにおぶせろ。
かつ いいよ、婆さま、くたびれてら。
そめ なあに、おらがおぶいてえからよ。
かつ そうか、んじゃ……こら小僧。(言いながら、おそめに、おぶわせる。ムニャムニャと寝言。鈴がコロコロ)大丈夫かえ?
そめ なあに、よ。……(二人歩き出す)
かつ まん中歩かねえと、暗えから、危ねえぞ。……ほら、内の灯が見えら。
そめ 源次郎、タンボから、あがったかや?
かつ たった今、あがった。(二人歩く)
[#ここから4字下げ]
遠くで馬方の歌「はぁああ、伊達と相馬の――」が風に流れて来る。
[#ここで字下げ終わり]
そめ ……ホントニ、お前にゃ、すまねえよ。……でも、知っちゃいるんじゃが――どうしてもジットしておれなくってなあ。お前にも、源次郎にも、みなさまにも、迷惑かけて――もうもう行かねえから、こらえてくんな。
かつ ……なあによ、来月も又、行くがええよ。別に人さまに悪い事するん
前へ
次へ
全33ページ中32ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング