てウロウロしている。どうすればよいか?
舟木 そう、どうすれば――?
[#ここから3字下げ]
(二人、顔を見合せている。そこへ出しぬけに二階の一角で、ドシン、ガタガタと音がして、女の叫び声がして来る。舟木と私はその方を見あげて聞き耳を立てている。……)
[#ここで字下げ終わり]

     14[#「14」は縦中横] 省三の室

[#ここから3字下げ]
(天井裏の見える、まるで物置のように殺風景な、板のベッドと粗末なテーブルの他に何も無い部屋。ただ一つ壁に真赤な三角の旗がピンでとめてある。額から片眼へかけてホウタイ※[#始め二重括弧、1−2−54]それに血がにじみ出している※[#終わり二重括弧、1−2−55]を巻き立てた省三が、ベッドに片足かけて仁王立ちになり、革のバンドを右手にふりかぶって、憎悪にとび出しそうな眼で離れて立った房代を睨んでいる。
房代は右手に濡れたタオルを持ち、左手で、たった今なぐられた頬から首すじをおさえて、ギラギラ光る目で省三を見つめている。これも左の足首をホウタイで巻いている)
[#ここで字下げ終わり]
房代 なにするのよ、キチガイ!
省三 バ、バ、バイタ! (
前へ 次へ
全164ページ中98ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング