になって後すざりしながら自分を見ているので、その姿に逆にびっくりして見ていると言うのが当っている)……あの、どう……どうしたんです?
房代 …………(両腕を突き出して須永が近寄って来るのを防ぐようにしながら、ジリジリと後しざる)
織子 あ、危ないっ!
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(叫び声と同時に、奥の床板に開いている焼夷弾の穴に、房代の身体がスポッと落ちこみ、ガラガラと音がして、二階の真下の部屋からアッ! という房代の悲鳴がひびいて来る)
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須永 ああ! (その穴のそばへ行って下を覗く)
省三 おっ! (これも穴へ駆け寄る)房代さんっ! 房代さんっ! 房代さんっ! (これは下を覗くひまも無く、いきなりその穴から下へパッと飛びおりて消える。ガタガタ、ベリッ、ドサンという音)
舟木 馬鹿! ここから飛ぶ奴があるか! ケガしやしないか? 織子、二階だ! (身をひるがえして、私の室へ消える。織子も走ってその後を追う。二人が階段を駆け降りる音。やがてシーンとなる)
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(一瞬のうちに、穴のふちに須永と桃子と柳子の三人が取り残される。ボンヤリしている須永、遠
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