れまでに何度も何度もあったっけ、そう私、思ったような気がするわ。
須永 だろう? だからさ……だから、見せてくれないかなあ、裸になって。
モモ 見せたげようか、んじゃ?
須永 お願い!
モモ じゃ、これ持ってって。(フルートを須永に渡し、ズボンのバンドに手をかける)
柳子の声 (下から)モモちゃん! モモちゃん! 降りていらっしゃい! モモちゃん!
モモ (手をとめて)ほら、やっぱし、柳子おばさんが来た。
須永 いいからさ。
モモ だって……しかられちゃう。また、こんだ。
柳子の声 (すこしあがって来て)モモちゃん! さあ、もう、降りていらっしゃい! モモちゃん!
モモ はあい!

     11[#「11」は縦中横] 私の室と次ぎの室

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(私の室では、私と須永が椅子にかけて話している。その次の室――と言っても、以前は物置に使っていた室が焼夷弾を食って屋根も壁も飛んでしまって床板にも大穴のあいたままの場所の、私の室とのしきりの板戸の隙間からもれてくるひとはばの光の中に、桃子をしっかり抱いた柳子、それから房代、織子、舟木、浮山、若宮、省三が、群像のように動かず、私
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