は僕あモモコさんと遊びに来たんだから。
モモ 遊ぶって?
須永 ……だから、裸になって、見せてくんないかなあ。
モモ フフ。
須永 なにもかも、僕には嘘のような気がするんだ。小さい時から、そうなんだ。そこらの物も、人も、まわりのものが、なんかしらん、ホントでない、ホントの事は、もっと別の所にチャンとして在るような気がする。僕がホントに居なきゃならんのは、その、別の所で、そいで、だから、此処に自分がこんなふうにして居るのは、まちがっているような。そう言う気が年中するの。
モモ わからないわ。
須永 モモコさんと一緒にいると。そんな気がしなくなるんだ。
モモ そう? どうしてかしら?
須永 そいから又、いや、そうだからだと思うけど、今自分が見たり聞いたりしてる事は、同じ事を、それとソックリ同じことを、いつか何度も何度も見たり聞いたりした事なんだ。そういう気がしょっちゅうする。
モモ うん、そう! それは、あたしも、そういう気がする事あるわ。ピカドンだって、広島でじゃなくって、もっとズーッと以前に何度も何度も私、見たことがある。いえ、あのピカッとした中で、ああそうだっけ、なんかこんな事が、こ
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