モモ そうよ。かわいそうよ先生。……亡くなった先生の奥さん、キレイな人?
須永 うん、キレイだった。
モモ 柳子おばさん、キレイ?
須永 キレイだ。
モモ どっちがよけいキレイ?
須永 ……どうしてそんな事言うの?
モモ どうしてって?
須永 先生の奥さんは死んじゃって、柳子さんは生きてる。
モモ ハハ、ほんとうだ、ホホ!
須永 ……(桃子の顔を穴のあくほど見つめている。その末に自分も微笑して)モモちゃんは、死ぬことなど考えたことある?
モモ 死ぬこと? ううん、考えたこと無い。
須永 そいじゃ、死にたくないと思う?
モモ ううん。たくないとは思わないわ。
須永 死にたいとは?
モモ ううん、思わない。
須永 じゃ、生きていたいのね?
モモ ううん、別に。そんなこと考えたこと無い。おんなしだもの。
須永 おんなし?
モモ わからないの、あたしには。……あら、誰か昇って来る。(耳をすます)
須永 ……(これも耳をすましていてから)誰も来やあしないさ。
モモ もう下へ降りましょうか?
須永 もういっときいよう。
モモ だって須永さん、先生とお話なさるんじゃないの?
須永 うん。……でも今日
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