ぱし逆さまにブランと三人も四人もさがっていて、その中の一人の人は、着物を全部ダランとぬいで垂れてる。よく見たら、みんなそれがその人の皮なの。皮をスッカリ脱いじゃって、それを、やっぱし自分の手でつかんでぶらさがってるの。……おかしくなっちゃった。……(童話でも語るように言う)
須永 ……そいでモモコさんの眼、見えなくなったの?
モモ ううん、そいから病気になったの。白血球と言うのがドンドンふえるんだって。そいから、おなかが、こんなにふくらんで、そして砂糖をウンとなめさされて、そして、しまいに眼が見えなくなっちゃった。
須永 ……又見えるようになりたくない?
モモ そうね、大して。
須永 でも、いろんなもの見たいだろう?
モモ いろんなものって、どんな?
須永 そりゃ、お星さんだとか人間だとか鳥だとか木だとか、そんなような――
モモ そうね、お星さんや木なんぞは見たいけど、人間は見たくない。
須永 なぜ?
モモ なぜだか。
須永 僕も人間は見たくない。
モモ なぜ?
須永 なぜだか。
モモ 人まね!
須永 ハハハ。
モモ お月さん、まだ出ない?
須永 出てないよ。出るの?
モモ ゆんべも出
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