永)
[#ここで字下げ終わり]
モモ ……(吹きやめて)須永さん。
須永 うん。
モモ どこに居るの?
須永 ここだよ。
モモ お星さま見える?
須永 うん、見える。(しかし実際はベットリと暗い空で星は一つも見えぬ)
モモ どっさり? (寄って来る)
須永 うん、だんだん多くなる。眼の中がチカチカ、チカチカして、とてもきれいだ。
モモ なぜそんな変な声だすの? (須永の素足にさわって)あら、あなたの顔、これ?
須永 ふ、ふ! (言いながら、身体を曲げて持ち上げ、手すりの内側に降り立ち、眼がまわるので少しフラフラしながら)おお、くすぐったいや!
モモ どうしたの?
須永 とても綺麗に見える、ああしていると。それからモモコさんのフルートが、遠くの方で大波が打つように、パイプオルガンが鳴っているように聞える。
モモ そう? ……(ニコニコして)あたしね、その時、公園に一人で遊んでいたの。もうおひるだから、ごはんに帰ろうかなと思っていたの。そしたらパッとなにか光って、なんにも見えなくなったの。そいから、なにかわからなくなって、そいで、こんだ何か見えるようになって、見たら、黒い木の枝に、人がやっ
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