れからにしてほしい。
舟木 どこへ行ったんだ?
房代 モモちゃんと一緒に塔へ行くんだって、そう言ってたから――
省三 塔なら、ここから見える。(奥の窓の所へ行き、ガラリと開ける。暗い夜空)
房代 暗くって、よく見えないわ。
舟木 いや、見える。(すかして見る)
若宮 ……なんだろう、ありゃ?
浮山 てっぺんに立っているのはモモコですよ。おや、あれが須永君かな?
私 ああ!
舟木 どうしたんだ、あれは?
房代 あらあら!
省三 ああ、モモちゃんがフルート吹いてる! (そのフルートの音が、微かに流れて来る)
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(同時にソファの上の柳子が夢でうなされているような声で泣きはじめる)
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織子 柳子さん! 柳子さん!
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(他の五人は窓から塔の方をすかして見ている)
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10[#「10」は縦中横] 塔
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(一坪ばかりの広さの、手すりだけ附いた、こわれかけた塔の上。桃子が立ってフルートを吹いている。その反対がわの手すりの棒に両膝の関節で、こちらを向いて、逆さにぶらさがっている須
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