にそうだとすれば、先生、あなたの所に須永君がチョイチョイ来ていたと言う事は、須永君のうちでも知っているんでしょう? それなら直ぐ調べが附いて、もう今ごろは此処へ警察から人が来ている筈だ。
私 ……だが、須永は自分の家じゃなく、たしか下宿しているから、そう早くは調べが附かんかも知れない。もっとも下宿にしたって、もしそうなら、調べれば私の出したハガキなども有る筈だから、それに依って問い合せぐらいは、もう来てるとも言える。
省三 やっぱり、じゃ、ちがいますよ。あんなおとなしい須永君が、そんな筈はない!
舟木 しかし、それはわからない。そういう事は、言って見れば突発的なアクシデントとして起る場合もあるから、その当人の性質如何には、割にかかわらない。
私 ……どうすればいいだろう?
若宮 一刻も早く此のうちを出て行ってもらうとか、なんとか――
房代 ホントにそうだかどうだか、わからないままで? それは、ひどいわ!
若宮 すると、当人に、あんたがそうなんですかと言って聞くのか?
私 待って下さい。私にも、なんか、責任みたいなものが有るから、いっとき私にまかしてほしいんだ。私が逢って見る。すべて、そ
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