こんな郊外の不自由な家に? 広島のお姿さんが死ぬのを待っているんじゃないんですか?
舟木 なにい? (立ちかける)
織子 あなた!
省三 ヘヘ! (笑いながらスタスタと室を出て行く)
8 私の室
私 いや、そう問いつめられても、正直、僕にはわからない。そりゃ、第三の道と言うのは在るような気はする。少くとも在り得るとは思う。しかし、現在、僕が駄目になっているんだ。積極的に、この、生きると言う事が、どうにも考えられなくなっている。そんな人間がただ観念だけの問題として、つまり自分が生きると言う場から離れた思想として第三の道などを言って見たって、しょうがない。つまり今の僕には実はそんな事興味が無いんだ。わからんとしか言えない。
省三 しかしですねえ、こないだ朝鮮問題を此処で話していた時――たしか須永君なども一緒にいた時ですよ。ええと、須永君どうしました? もう帰ったんですか?
私 いや、二階で花引いてるようだった。
省三 ……つまり二十五時の問題と言いますかね、あれを話した時に、あなた言ったじゃありませんか。朝鮮で起きている事は本質的には日本でも既に起きている。目には見えないが三
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