そいのお守りをこのおじいさんがするのは、ちっと、つらい。
房代 ……そうよ、おっしゃいよハッキリ。あたしは恥かしいなんて思ってやしない。そんな事より、自分の娘からまで、つまり、そんな娘のそんな金まで、お父さんはかすめ取ろうとしているんじゃないか?
若宮 わからないなあ! かすめ取る? チョッ! だからよ、だからさ、投資しないかとすすめているだけじゃないか! つまり、この、ビジネスとして、この、合理的に儲けようと――
舟木の声 (どなり声だけが、はいりこんで来る)合理的に、もっと考えて見たらどうだ! お前だって近代人だろう? 中世紀の狂信者やなんかじゃないだろう?
省三の声 (これも、どなっている)兄さんこそ狂信者じゃないか! 科学と言うものを狂信している。いや、ちがう、科学だって兄さんの言っているような科学はホントは科学でも何でもないんだ! 合理的合理的と兄さんは言うが――
房代 (その二つの声は耳に入らないので、すこしも影響されないで)ですから、おことわりよ。投資するなら、ほかにする。
若宮 そうかね。みすみす、もうけさせてやろうと言うのに、お前と言う人も慾が無い。金がほしいかと思う
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