んで網を張っていた方が率は良くってよ。そんな、元の軍人だとか特高警察だとか追放された実業家などが寄り合って、又なんとかして、お釜を起そうとウの目タカの目でなにしているのなんか当てになるもんですか。よした方がいいと思うな。第一、その後藤先生にしたって、結局は追放解除になって、政治の方へカムバックしたいんで、それの足がかりに連盟なんかやっているんでしょう? カムバックができたとなると、あとはどんな事するか知れたもんじゃないわ。
若宮 じょうだん言っちゃいけない。ほかは知らんが後藤先生は唯の政治家じゃないぜ。つまり思想家、と言うか、信念を持っとる、人格者――つまり国士だ。
房代 は、まだ居たの、国士なんて言うもん? お茶をわかすわ、オヘソが! 国士が、それこそオヨオヨとあんまりたくさん居たからこそ日本はこんな事になっちゃったんじゃないの? おお、ダミット!
若宮 ダメじゃないよ。お前たちアプレにとっちゃ、そうしか思えねえかも知れんが、そいつは早のみこみの量見ちげえだ。こんだの戦争にしたってそうだ、今いろいろ言ってるが、あと五年十年たっても見な、どっちが良くってどっちが悪かったか、今言われてい
前へ
次へ
全164ページ中38ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング