いだ、少し大口の糸へんで、ちょっとガッちゃったし、それに、あたしにゃ、年二割なんて気の永い話はダメ。いえ、金が寝るのが惜しいなんて言うよりも、スリルが無いので、つまんない。
浮山 だって一つ位、気永に構えた仕事を持っていても悪くはないだろう。これでもうまく行って少し大きくやれば立派に一つの事業なんだから。
柳子 でも、その今の、私のだいっ嫌いなヌルヌルを拵える仕事に金を廻すなんて、フフ、いやだなあ。
浮山 ハハ、そりゃ、しかし、これだけじゃないもの。温室の方のランの方も、もう少し手広くして、新種をもっと入れたいし、そのほか、いろいろあるし――
柳子 ランね? ランは綺麗でいいけど、でもあたしなぞとは益々縁は無い。
浮山 頼みますよ。ね! その方が、若宮君などを、大きに手足のように使っているつもりでいて、時々ノマれたりしているよりゃ、いいんじゃないですか。
柳子 若宮がノム? 冗談でしょ。そりゃ、ほかのお客のはノンだりしているかも知れないけど、あたしの分を、へ、そんなアコギな事、させやしない。誰だと思ってるの、ハハ。こいでも、あんた――
6 若宮の室
若宮 (大あぐらでウィ
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