ねえ、いよいよとなって、どんな風に出て来るんだろう? それが私、気になる。
浮山 あれはしかし、せいぜい死んだ伯父さんとの関係を言い立てて土地の少しも分けてもらって、それで病院でも立てようと言うだけのなんだろうから――
柳子 そうかしら? だって、あんな妙な、先生なんて人まで引きずり込んで来たりして、何かと自分の味方をふやしといて――
浮山 そりゃ、違うだろ。あの先生は奥さんを取られた後ボンヤリして、そいで行く所が無いから、あれはあれだけの人だと思うなあ。
柳子 そうかしら。……どっちせ、広島のおばさんが今のようじゃ、あれもこれも、さしあたりどうにもならないわね。
浮山 そう、所有権は伯母が握ってんだからな、あいでも、変なもんだな、こんだけの家屋敷が、もう死んだも同然の、ただ息をしているだけの伯母に握られて、どうにも出来ないんだからなあ。……しかし、そんな事よりお柳さん、今言った、なんとか一つ、資金をさ、お願い出来ないかなあ。年二割位の利息は払えると思う。それも一度に貸してくれなくても、最初は五万ぐらいで結構だけどね。
柳子 出してあげてもいいけど、でも近頃少しひっぱくしてるのよ。こな
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