ちを照らすと、びっくりしてかけあがった拍子に柳子の着物のすそが乱れて踏みはだけた下半身)どうしたんだよ?
柳子 (すそをつくろいながら、既におかしくなって笑っている)おおびっくりした!
浮山 こっちがびっくりしますよ。どうしたの全体?
柳子 ヌルヌルッとするじゃありませんか! なんの気なしにヒョッと触ったらヌルッとして。おお気味が悪い!(指の先を嗅いでいる)
浮山 なあんだ、大げさだなあ。
柳子 清彦さん、だまあってるんだもの。ちょっと言ってくれれば、触ったりしないのに。おお、イヤだ! 何が嫌いだと言って、ヌラヌラするものほど嫌なものは無い!
浮山 ハハ、そう言えばお柳さん、小さい時からヌタだとかワカメのお汁など出されると、プイと立ってしまったっけ。
柳子 知ってらっしゃる癖に、しどいわ。
浮山 ハハ、ごめんごめん。しかしね、なんだよお柳さん、どうもなんだなあ、もしかすると、あんたの男嫌いと言うやつも、そいつから来ているのかな。
柳子 ホホ、男は嫌いじゃありませんさ。
浮山 すると、そこらにゴロチャラしている男だけが嫌い? 耳が痛いな。
柳子 清彦さんだって、さんざ遊んだ人でしょ? わ
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