る。少くとも近い将来に要求することがわかっている。それが怖い。それに近寄らずに、そして君を失うまいとすれば、心中する以外に無い。それでその約束をしたが、心中する前に肉体的にもつながると言う事を君から言われた。フォビヤが彼女をなぎ倒した。張りきった弦が切れた。それで明日君と一緒になるのを待たずに一人で死んだ。
須永 そうでしょうか?
舟木 そうだよ。そいで君は、あと、一人で生きて行く拠り所を全くなくした。直ぐに、だから、死ねばよかったのだ。
須永 直ぐに死ねばよかったのです。
舟木 だのにウロウロ生きていた。死んだ恋人をフォビヤに追いこんだ実体、その父と母が前に立ちふさがっている。特に父親は転位された君自身だ。君には恋人を殺したという意識がある。同時に彼女を殺したのは父だと言う二重意識。それがダブッて決定的な焦点を結んだ。米屋は反射的にやっただけだろう。
省三 ちがうんだ! 米屋が兵隊服を着ていたからだ。兄さんにゃわからない。俺たちの世代が兵隊服に対してどんな実感を持っているか。俺たちをおびやかし駆り立てる亡霊だ。その父親をやったのだって兄さんにはわからない。兄さんにわかるのは、せいぜい
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