乾いた、冷たい声)ソロソロもう夜が明ける。つまらない騒ぎはよそう。(須永を強い眼ざしで見て)須永君。君はもう出て行つてくれ。君を私は好きだ。しんから好きだ。しかし、どうしてだか、君がまじっていると、われわれは、こわれてしまうようだ。君はもう、われわれの間にとどまっておれないような事を、してしまった。すまないが、出て行ってくれ。
須永 よくわかります。出て行きます。
私 その前に聞かせてくれないかね? 君は、なぜそんな事をしたの? 君はそれを聞かせてくれたが、私にはまだよくわからない。
須永 僕にもよくわからないんです。
私 しかし君は狂人ではない。
須永 そうでしょうか?
舟木 その恋人のあい子と言う人は、実の母親と義理の父親との間の性生活を長く見さされて病的にセックスを嫌った。義理の父と言うのが動物的に荒淫の男であったかもしれない事が考えられる。更に、もしかすると、その父は義理の娘を犯したのだと言う所まで考え得る。が、しかし、そこまで考える必要も、証拠も無い。セックスに対する恐迫観念が固定してフォビヤになるには、それだけでも充分だ。それが君、須永と言う恋人を得た。君は女の身体を要求す
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