ら、出て行ってくれ。
私 つまらない事言うのはよそう、舟木君。気が狂ったのではなかろう?
舟木 存在しているのは時代々々のノルムだけだと言っただろう? 俺が狂人でないと言う証拠は、どこにも無い。二十世紀の人間は一人残らず、十六世紀の人々の前へ連れて行けば、狂人さ。
省三 兄さんの愚劣な、猿のニヒリズムだ!
舟木 俺が猿なら、お前は豚のだろう。マルキシズムなどを、ギリシャへ持って行って見ろ、いっぺんに狂人の思想だと言われる。
省三 又言うか、猿! (兄に迫って行く)
須永 ……(さき程から一同のまんなかに立たされて、皆の話をオロオロしながら聞いていたが、この時、しゃがんで、膝を突いてしまって)どうか、あの、許してください。僕が悪いんです。僕がここへやって来たもんだから、――僕がいけないんだ。許して下さい。僕はもう出て行きますから。
モモ ちがってよ! 須永さんが来たからって、誰も――いえ、みんなふだんより正直になっただけだわ。
浮山 モモコ、お前はだまっていなさい! 須永君は殺人を犯している。
モモ ほかの人だって何十万人と言う人を殺したのよ。
浮山 それは戦争だ。戦争は互いに武器を持っ
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