だ。
織子 よして下さい! そんな、あなた、よして!
浮山 よしてくれ! よしてくれ! 君と言う人間は何をするかわかない!
舟木 一本注射を打って人間を永久に狂人にする薬はまだ発明されていないよ。又この場でこの人が死ねば、君たちが証人で、俺はしばられる。ハハ、強心剤と鎮静剤を打っとくだけだ。(ニヤリと一同を見まわしてから、注射する)
織子 あっ! (自分が注射されたように全身をビクンとさせる)
省三 上にかついでいこう。
舟木 いや、いっとき、このままにしとく方が良い。……(注射器をしまいながら)織子、お前はそれほど俺が信用できないのか?
織子 わかりません。ただ、私は怖いの。
舟木 俺がかね? ……それなら離婚してもいいよ、お前は以前から、神さま以外は誰も信用しないし、誰も愛さない。人間は誰も彼もお前にとっては、いかがわしい、疑わしいものなんだ。俺もいかがわしい人間だ。しかし、ほかの人と、それほど変っちゃいないよ。大概こうだよ人間は、慾と野心のかたまりだ。それを許さないのは、お前の神さまだけだ。お前が俺を怖いならば、俺はお前の神さまが怖い、つまりお前が怖いとも言える。遠慮はいらないか
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