(十文字にぶっちがいになっている支柱と横ゲタの所が、天井にとりつけられた円筒のシェードを持った電燈の光で、円錐形に照し出される。その光の中に、須永と柳子とモモコ。
須永は白いシャツの胸や袖がズタズタに破れ、ズボンの片方も腿の所が大きく裂けた姿で、疲れ切って、それでもまだ逃げ出そうとするような姿勢で、中央の支柱にかじりついて立ち、ハアハア喘いでいる。それがチョット十字架にかけられた姿のように見える。柳子は、細帯一本のしどけない姿の、首から背筋のあたりまで、こちらに見せて、下半身は後ろに投げ出し、両腕をひろげて須永の両膝を支柱ぐるみ、ヒシと抱き、顔は須永の膝の間に埋めたまま動かない。一瞬前まで息せききって柳子が須永を追いかけまわしていた事が一目でわかる姿で、フットボールの試合でボールを追って横っ飛びしかけた選手を敵の選手がタックルした瞬間に、画面がピタリと停ったのに似ている。円錐形の光の輪の端の所に、モモコが両手で握ったピストルをこちらに向けて立っている。しばらくシーンとする)
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モモ (ピストルを発射したのが嬉しくてたまらぬように、軽い明るい笑声を立てる)ハハ
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