に死のう、心中しようと決めたんだ?
須永 生きていられなかったから。
省三 なぜ生きていられなかった?
須永 呼吸がつまりそうで窒息しそうだった。
省三 なぜだ? どんなわけでだよ?
須永 なぜだかわからない。
省三 ……君は馬鹿だ!
須永 馬鹿だ。(ゲッソリとしょげている)
省三 (相手のまるで無抵抗な姿を見て同情する気になり、同時に自分をとりもどして来る)だけど、その人が一人で自殺したのを、なぜ君は自分が殺したと言うんだ?
須永 でも、殺したのは僕だから。
省三 ちがうよ、君が殺したのは、ほかの三人だ。
須永 ううん、ちがう。僕が殺したのはあい子だ。
省三 君じゃないよ、殺したのは。
須永 殺したのは俺だ。
省三 逃げないのか君は?
須永 逃げる? どこへ?
省三 どこへ? ああっ! (反問しているうちに、出しぬけに、とび上って、キョロキョロあたりを見まわし、それから室内をキリキリ舞いをして、窓の所へ駆け寄ったり、テーブルの下にかくれようとしたりする)そうだ、殺したのは俺だ!
須永 …………(びっくりし、あきれて見ている)
省三 殺したのは俺だ!
須永 何を殺したの?
省三 島田と
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