て、少しは言葉を慎しむものよ。大体お前さん達が頼んで来て貰つてるんじやないか。それに、修さんだつて、小屋がハネてから来てるんだから、くたびれてんだよ、もう何時だと思つてゐるの?
ミル 口出しをしないでゐて頂戴、お辻さん、あんたにや、わからん。
お辻 さうかねえ、ふん、さうでせうよ、どうせ私あ、ゲーム取りあがりの、なんにも解らない女さ、さうさ、お妾ですよ。
ミル それがどうしたの?
お辻 お妾だからお妾だと言つてるんですよ、でもこうして鐚《びた》一文貰へないお妾さんも、まあ珍しいだらうね。大体私が好きこのんでこんな風になつたと思つているの? へん三多摩自由党の生残りだか何だか知らないが、ミルさん、あんたのお父さんなんて言ふ人はね――
ダンサー一 今夜はもう、これ位で止さう。
ダンサー二 疲れちやつた。
ミル さう? 帰りたきや帰つたらいい。私は、稽古がスツカリ済む迄は、どんな事があつても止さないよ。
修 俺が悪かつた。ぢや、今んとこ始めつから行くよ。(弾き出す)
ミル よし、ワン・ツー・スリー!
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三人再び踊りはじめるが、又忽ち修が手を間違へ、ハツとして球台を降りて
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