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突立つて繃帯をして貰つてゐたのが急に、オイオイ泣き出す。
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彦一 ……なんだ、出し抜けに?
ミル なぜもつと早く、帰つて来ない。兄さんの馬鹿!
彦一 どうしたつて言ふんだよ?
ミル (シヤクリ上げながら)うゝん。お父さんの事を寄つてたかつていぢめやがつて、パチンコまで打ちやがるんだ。誰が糞、怖いもんか、来い、畜生!
お辻 ……だつてさ、いきなり刃物を振りまはすんであぶなくつて仕様がないぢやないか。
白木 ……おどかしですよ。どうせ、初の一発は空らになつてるんだから。ハハ。うつちやつて置けば怪我人が出ますからね。
彦六 とにかく、今夜はもうおそいから、これで帰つて貰ひませう。
白木 いやあ、今夜こそハツキリ形を付けて貰はん事にや……とにかく、話だけは洗ひざらひしてしまつたんだから……
彦六 私の方も言ふだけは言つてしまひましたよ。
白木 そこを御相談してゐるんだ。少し此方にも同情して下さいよ。
彦六 同情なら此方こそしていただきたいもんだ。なんせかうした病人だ。叩き出されてどこへ行く先があるんです?
白木 あれだ。弱るなあ。あなただつて
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